えこひいき日記

2001年8月5日のえこひいき日記

2001.08.05

ハトのヒナたちが生まれてちょうど14日目。(おそらく)カラスに襲われたらしい。朝、事務所に来てみると1羽の姿は既になく、もう1羽は血まみれになってうずくまっていた。親鳥は、なすすべもなく周りをうろうろしていた。
私は1時間後にレッスン開始だったのだが、とにかく、すぐにタオルを敷いた箱に生き残ったヒナを確保し、タクシーをつかまえて「鳥獣保護センター」に急いだ。
(余談だが、京都市の「鳥獣保護センター」は岡崎動物園のすぐ隣にある。ハトやスズメは都市部でも見慣れた鳥なのだが、いちおう「野鳥」なので、獣医師にではなく、こちらに預けて診てもらうのがスジらしい)
センターの係の方の話によると、ヒナはごはんを食べた直後らしく、そのことから考えると、襲われてそれほど時間がたっていないみたいだった。生育状態は良好なのだが、怪我の程度が気になる。背中のしっぽに近い方から足の付け根にかけて、恐らくカラスのくちばしでつけられたのであろう鋭利な切り傷があり、つつかれたのか、腿には穴もあいていた。鳴く元気はあるみたいなのだが、心配である。でも、私にはせいぜいセンターに連れて行くことくらいしか出来ない。回復してくれることを祈るのみだ。
今も親ハトたちはヒナを探してうろうろしている。
くしくもハトのヒナにはじめて触ったのだが、お腹側にはまだ羽毛も生えておらず、まるでゼリー袋のようにやわらかく、暖かかった。私の手にもべったりヒナの血がついた。

今回、ハトの巣になったのは、ベランダのプランターで、この位置はとても目に付きやすい。そこに卵を移したのは私だ。そこが唯一私が「譲歩」できる場所だったからだ。
それは、今考えてもそうなんだけれども、でも、もうしわけない。

こんな街中といえど、「野鳥」であるハトの生育環境は人工的に保護された環境ではない。これもきっと、あたりまえのサバイバルなんだと思う。現場を見ていないから言えることなのかもしれないが、カラスのハンティングを単純に「わるいこと」とは思えない。それぞれの立場で、真摯に生きているだけだから。
それでも、気持ちは平静ではいられない。単に「かなしい」とか、それだけでもないんだけれども、こういう気持ちをどう名付ければいいのだろう。
とにかく、なるべきようになることを、祈る。

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