えこひいき日記
2007年3月26日のえこひいき日記
2007.03.26
連載原稿の4回目を出し終わった。それなりの仕上がりになっていると思う。楽しんでいただければ幸いです。
それにしても、言葉というもの・・・。敵にまわす気はないが、言葉と格闘する日々、である。本当はまだ「格闘」にもなっていないのかも。「猫だまし」で転ばされて玉砕、って感じもする。
私が言葉を使いあぐねている感覚というのは、ちょうど「お水取り」の面白さについて何も言葉で書けなかったことにも似ていると思う。自分にとってはすっごくリアルでかけがえのない感覚なのに、言葉に翻訳できないもどかしさ。そういう感じ、すごく悔しい。「お水取り」の場合は、個人的な体験だし、自分にとってそういう経験があったということだけで満足で、誰かにわかってもらいたいという感じもあんまりないから「言葉に出来ません」でよいのだが、原稿の場合はそうではない。やはり私は言葉で何かを表現したいと思っているし、何かをわかってもらいたいのだと思う。それに原稿の場合、一応テーマを決めるし、字数の問題もあるから、起こった出来事をまるごと書くわけにはいかない。この、「何かの次にしか、何かが書けない」という言語表現独特の制約を、私はまだ使いこなせていない。頭の中にある「出来事」を常に立体で、ほんとは5つぐらいのアングルから同時に立体模型を作るみたいに書きたい、立体的な原稿の書き方ってないのかしら、などと思うのだが、そんな書き方を思いつけもせず、書けないよぉ、ともだえ苦しむことになるのである。
しかし一方で、もう一人の自分がこんなことも言う。言語化は「翻訳」なんだから、コピーでも再現でもないんだから、もしもアタマの中にあるエピソードの再現にだけこだわっているんだったら、そんな書き方間違っているよ、と。そうかもしれない・・・私は「翻訳」という創造のセンスがないんかも・・・とか思い始めると、脳裏からうじゃうじゃとコビトが飛び出してきて「そうや、そうや、へたくそー」などと合唱し始めたりする。そうかと思うと、今回カットしてしまった様々なエピソードたちが百鬼夜行か魑魅魍魎、ツクモガミみたいな姿でずらっと並んで「あほー、あほー」と合いの手を入れ始めたりする。
今朝はそんな状態で目がさめてしまった。あぁぁ、朝から疲れる。
言葉で何かに触れるのか、まだわかんないけれど、がんばろ。