えこひいき日記
2001年7月6日のえこひいき日記
2001.07.06
2日前、またハトが事務所のベランダの、エアコン室外機と壁の隙間に卵を産んだ。
ここでのハトの産卵はこれが4度目である。
ただし、今回の親は前回生まれた子供のハトなのである。末っ子でひとりっこの「黒ハト」が母親である。
これまでの3回の産卵は同じ両親によるもので、2回目まではそれぞれ2個の卵を産み、全員めでたく巣立っていった。しかし3回目の産卵のとき、ちょうどビルの工事などをやっていたことも影響したのか、ハトはこれまでと違う位置に産卵した。卵は2個あったのだがうまれて来たのは1羽のみで、もうひとつの卵は腐ってしまった。そのときの子供が今回の「黒」である。他の兄弟たちはみんな、いわゆる「ハトの配色」(薄いグレーと濃いグレー)なのに対し、この子は圧倒的に濃いグレーの配分が多いのだ。おかげで唯一はっきりと個体識別ができるのだ。
どうして「黒」が親からこのテリトリーを引き継いだのかはわからない。親は今どうしているのかも、知る由も無い(「黒」に聞いてもわかんないし)。親と4羽の兄弟たちはそっくりだし、それぞれが配偶者も持ったようなので、ベランダに遊びに来ても誰が誰なんだかよくわからないのが実際のところだ。でも微妙にそれぞれバッティングしないタイミングで遊びに来ていたようで、どうみてもよそ者のハトがベランダの柵に止まろうとすると無言で「ハトキック」をかまして撃退していたから、ファミリーの?テリトリー意識はあったのだと思うのだけれども、そういえば10日くらい前から「黒」とそのハズバンドが飛来する回数が増えて、他のハトたちを見かけなくなった気がする。
しかし困るのは、今事務所のベランダはエアコンの室外機に占領されていて、産卵・育児によろしくないのだ。少なくとも、私にとっては。ハトはオムツをしてくれないので、ベランダの床は糞だらけになる。しかもヒナの糞は人間の赤ちゃんと一緒で、ゆるゆるなので、とっても困る。これまではあらかじめ新聞紙を何枚も重ねて敷き詰めておいて、汚れたら上の部分をどんどん捨てるという、「敷きオムツ方式」でお互いのメリットの共存を計ってきた。しかし今回は室外機のせいでそれも難しい。
さまざまなことが頭をよぎったのだが、こちら側のぎりぎりの妥協点として、ベランダの柵にかけてあるプランターの中に卵を移動させた。ここだと、ある程度ヒナが成長するまではプランターの中で暮らしてもらうことになるし、汚れが少なくて済むかもしれない。
最初は親が移動させた卵に気づいてくれなくて、どうしようかと思ったがハズバンドが見つけてあたためはじめた。「黒」は何か納得がいかないのか、昨日は全く卵を抱こうとしなかったが、今日は少し落ち着いた様子で卵の上に座っている。
今のところ卵は一つ。孫ハトの誕生はあるのだろうか。不安なような、楽しみのような、フクザツな気持ちである。