えこひいき日記

お台所の充実

2004.01.27

昨日、コーヒー豆を焙煎していて、その際に必要な「思い切り」の加減がちょっぴりわかったような気がした。私が持っている焙煎機は、ガスコンロのかけてドラム状の容器に生のコーヒー豆を入れてがらがらまわしながら焙煎するものなのだが、その際の火加減と、ドラムを回す加減と、豆を火からおろすタイミングがどうもよくわからなくて、焙煎してみるたびに「こーかな、あーかな」などと思っていたのだが、(あくまで私なりにだが)ちょっとだけ加減がわかったような気がした。いわゆる「当社比」のような「私比」でなのだが、火加減は結構思い切って強めでよかったんだな、などと思ったりした。むらのないきれいな焼き色で仕上がったキリマンジャロ豆を見ると、「みんないい子だ!」とコーヒー豆たちを誉めてあげたくなるほどに嬉しくなってしまった。

まだ個人的に遊んでいる段階なので、胸を張って人様に出せるようなものではないのだが、先日思い立ってタンク・セッションにやってきたクライアントさんに自分で焙煎したモカを出してみた。カップは、焙煎機を手に入れた後に購入した「アラビア」というフィンランドのメーカーの、シンプルな白いマグカップにした。そのカップは別室においてあったのだが、どうしてもこのカップで飲んでもらいたくてクライアントさんが支度をしている間に急いで取ってきた。クライアントさんは、とてもコーヒーの香りが高いことや「お砂糖なしでも飲める」風味がやわらかいさを喜んでくれた。タンクの後にお茶を差し上げるのはいつものことなのだが、なんだかより一層楽しいような気がした。
ちなみにこのカップは、本当に何の飾り気もない白いマグなのだが、滑らかな肌合いに適度な重さがあって、以前から気になっていた品だった。いとこが結婚したときにこれをお祝いにしようかしらとも思ったくらい、気に入っていたものだったが、自分用のマグカップに既にいくつも持っているし、おしゃれな雑貨屋さんやキッチングッズ売り場にはデザインがかわいい廉価版もたくさんある中で、そのカップはそこそこ存在感のあるお値段であることもあって、長らく購入というアクションには至っていないものだった。
親しい他人のためになら「日常品だからこそ、ちょっとお気に入りのいいものを使うとやはりよいのだから、そういうものを使って欲しいな」とするりと思えるが、自分自身に対しては他人に対してより気軽にはそう思いきれない。ややこしいことである。自分自身用には、ちょっとした理由が必要だったりする。長らく気になりながら自分の生活に参入してもらう機会を見切れなかったこのマグだったが、ちょっとコーヒー豆の焼き方がわかるようになって、果然欲しくなってしまった。この「日常的な贅沢」に合うのはこのマグだと思った。それはやはり贅沢といえば贅沢かもしれないが、「過剰」あるいは「余分」としてのそれではない・・・と思うのは言い訳に過ぎないのだろうか。でも、購入後、そのカップでコーヒーを飲んだり、出したりすることがとても楽しいのだ。充実感が増す。別に今までの品に不満があるわけではなく、それだって使っている。それに、言ってみればまあ、どんなカップでだってお茶は出せるし、お茶やコーヒーぐらい毎日飲むものだ。けれどその日常的な行為が、量的に増すような「贅沢さ」ではなくて、中身がしっとりとつまるというか、密度が濃くなるような感じで楽しくなるような気がするのだ。「これ」と思う品でいただいていると。もしもコーヒー焙煎をする以前にただ欲しくてマグカップを手に入れていたら、それは「キープする(とりあえず所有する)」ことの欲望が優先された「贅沢」の気配が強かったかもしれないが、「コーヒー」という「用」を得ての入手は、私にとって幸福なことだと思っている。

それにしても昨年末あたりから、私は随分台所用品を購入した。いずれも以前から欲しかったものたちばかりだが、それにしても時期的には一気だったかもしれない。購入した物は、まず豆乳メーカーにはじまり、コーヒー焙煎機(豆関係ばっかりだ)、バーミックス。その他ドイツ製のデザインの美しいザル(?)とか、ごまやナッツを煎るための小さい鍋(?)なども購入した。サラダを食べるときにちょっと煎ったアーモンド・ダイスやスライスなどを散らすと香ばしさが増してよいのだが、専用の機具の登場はその手間を惜しまずちょっと手をかけてみようという意欲を高めてくれる。中でもバーミックスと豆乳メーカーの登場は私的食生活には強力タッグで、これまでも裏ごし作業がめんどくさくて敬遠していたかぼちゃや人参のポタージュスープ作りなどが飛躍的に気軽になってしまった。このバーミックスを使えばミンチとか、たまねぎのみじん切りとか、卵白の泡立てなんかも楽に出来てしまうので、中華っぽい料理の下ごしらえにも便利である。豆乳メーカーを購入したときに目論んだ「豆腐作り実験」は、水の選定に手間取り、結局とまったままになっているが(どうもコーヒーにしても、シングルステップの作業なら気軽に手をかけられるのだが、それ以上の肯定と時間を必要なものだと、今はちょっと時間が出来るまで待たねばならないかもしれない)これもいずれやってみようと思っている。

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