えこひいき日記

2006年2月17日のえこひいき日記

2006.02.17

2月も後半であります。
1月からここ最近まで実に色々なことがあり、多忙を極めた。おかげで今年の「世界チョコ祭り」(俗に言うバレンタイン・デー)はゆっくり吟味も出来ずにおろそかにしてしまった。

「世界チョコ祭り」の当日、私は引越しをしていたのでした。これまで事務所と同じビル内に私室を構えていたのだが、その私室を引越ししたのである。引越しといっても遠くではなく、徒歩通勤圏内なのですが。
引越しを決行した理由は、幾つかある。すこし手狭になったのと、通勤至便ではあるものの日当たりが悪く景色も良くないので、気分転換がしにくいというのが主なところか。もともと仕事の都合を最優先に借りていた部屋だったので、それ以外の条件を重要視していなかったのだから「それ以外」の条件が満たされていないのは当然とも言えるのだが、何年か住んでいるとやはり「それ以外」の条件のことも気になってくる。相変わらず「交通至便」であることも外せない条件なのだが、「それ以外」の条件も満たすべく物件を探し、引越しとなったわけである。
仕事をしながらの引越し荷造りってなかなか過酷。もともと皮膚が薄くて弱く、指紋もほとんどないくらいの手が、ダンボールを触ったり部屋の隅に溜まった埃を掃除したりしているうちにすっかり荒れてしまったので、ハンドクリーム代わりにグレープシードオイルを塗り(このオイルはべたつかず吸収がよいので重宝する)軍手を着用して作業に当たった。
「交通至便」以外の条件を無視して住んでいた狭い部屋なのに、いつの間にか増えた書類やら本棚やらキッチン用品の移動に用意された引越しトラックは3トントラック。作業にあたってくださる引越し屋さんは3名。一人暮らしにしては少し大きめの引越しといえるかもしれない。引越し当日の部屋の有様ときたら「ダンボールの断崖絶壁」によって部屋は狭い迷路と化し、もはやカニ歩きをするのが精一杯。「なんじゃこりゃ」という感じであった。自分の荷物ながら、荷物ってこんなにあったのか、これをまた引越し先で荷ほどきするのよね、とやや絶望的な気分になったが、手際のよい引越し屋さんの手によって断崖はどんどん解体され、車では5分とかからない引越し先にどんどんと再構築されていったのであった。
引越しから3日を経過した現在では絶望的な絶壁の姿はもはやなく、なんとか人の住める部屋になってきた。あたりまえのことかもしれないが、内容物の増減や入れ替えではなく、配置や組み合わせによって、「絶望的なダンボール箱の断崖」が「部屋」に変容したり、「部屋」が「ダンボール絶壁」と化したりするのはなんだか不思議だ。狭くて暗かったとはいえ、つい数日まで普通に住んでいた場所、使っていたものが、箱詰され、積み上げられるだけで自分にとっての意味というか、物体の存在意義というか、関係性、活気で切る機能性が変わってくる。そしてまた、箱の中身はもとの部屋のものとなんら変わりはないのだが、箱から出されて新しい場所で新しい配置を与えられるだけで「違う部屋」になるのはなんだか面白いものである。

というわけで、通勤生活を新鮮に楽しんでいるここ数日なのである。

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