えこひいき日記

2018年2月5日のえこひいき日記

2018.02.05

節分・立春のお参り旅は楽しい。なにが?といわれると言葉にするのがむつかしいのだが、たぶん「なにか」というイベントに頼らずにいられることが楽しいのだと思う。そういうことを楽しめることが楽しいし、楽しめることに感謝する。

一方で、この旅には裏テーマがあるのですよ。個人的に。
題するなら、「冷え」「冷えからくるむくみ」「冷えによる自律神経の乱れ」に今年の私はどう向き合うか、である。あと、旅特有の体調の乱れ、ね。
アーユルヴェーダではすべてヴァータ(風)ドーシャ(体質)の問題ともいえる。そして年齢を考えれば私のヴァータ性は今後増す傾向にあるのだ。冬の旅は私の中のヴァータ性をまざまざと感じる経験でもある。

私は冷えに弱い。小さいころから弟からは「哺乳類に思えない。爬虫類か、地球外生命体だと思う」と言われてきたくらい、冷えやすい。だから冷えそうなことはしない方がいいのだが、私の大好きな節分のお参りは2月、しかも極寒のお山であるのだ。春先に平地であったらどんなにいいか、とも思うが、そんなことは私の一存でどうにかなる話ではないし、自分が何かできることを探すしかない。
これから先も2月の高野山に通い続けるつもりなら、やってみるしかないのだ。
自分の「冷え」に対して本気で何かせねば、と思ったのは数年前。奥の院にお参りに行ったときに知り合いに出会い、思わず長く立ち話してしまったときには凍死するかと思った。ダウンコートを着たままアツアツの麺類を食べても歯の根が合わず、その夜はからだにカイロを張ったまま眠った。そうしないと震えて眠れないほどだったのだ。普段だったらさすがにそんなことをしたらのぼせてしまうと思うのだが。熱も出た。すぐに下がったが。
思い返せば、星供から帰ったときに発熱する、ということが何度かあった。その時は「風邪をひいたのか」と思っていたし、実際そうだったかもしれないが、ひょっとしたらウィルスうんぬんではなく、寒さに対応しきれなかったからだ(自律神経)の反応(驚き)、だったのかもしれないと思う。

そしてもう一つ、旅先では体調が変わる。特にお通じね。あと、睡眠と、食事。たいてい普段食べないものを食べ過ぎる。私の場合、寝入りは悪くないが断眠が起こることがある。するとあまり深く眠れず、早朝からのスケジュールが多い行程では体力的にしんどくなってくる。
普段しないことをするのは楽しいのだが、それを体調の悪化に結び付けない工夫は、もはやライフワークかもしれない。

冷えと旅先での体調管理問題がまるまる重なる2月のこの旅は、私にとって試練でもあるが、考え方を変えれば年に1度の実験の場である。
これまでの問題と、今年やってみた対策を並べるとこんな感じ。

「冷え」

気候、気温によるものだが、「旅」というシチュエーションでの自律神経の乱れや緊張でも悪化する。冷えると、寒さを感じ、身体の動きや感情的にも滑らかさがなくなる。体調が悪化。
これまでやってきた対策:あったか肌着、カイロなどを使用。靴下を重ねるなど。
今年行ってみた対策:これまでの対策にプラスして、トゥリカトゥ(アーユルヴェーダの辛味のあるミックススパイス)を10月くらいから摂ってみる。感覚的に「冷え」を感じる前からやんわり対策すること。「冷え」に対する意識改革も意識的に。「このくらいの寒さで」とか「冷え対策をなさねばならないことにネガティブな感情や評価を持つ」ことから離れる。ポジティブに取り組む意識で。

「むくみ」

冷えと、旅行での移動で座っている時間が長いと起こる。ひどいときには2キロほど体重が増える。足のだるさやサイズアップなどが起こる。消化も悪くなる。
これまでやってきた対策:移動中に着圧式靴下などを身に着ける。機会があれば高いところに足を上げる。足首をほぐしたり、ふくらはぎを伸ばしたり。
今年行ってみた対策:着圧式靴下をやめて、血行を妨げずあたたかくする工夫をする。旅先で、というよりも、普段の「日課」で行う運動を充実させておき(脚の筋肉や関節に適度な負荷をかける運動)、旅先でも可能な範囲で行う。普段から腹式呼吸が呼吸のベースになるよう気を付けておく。

「旅先での問題:お通じ・睡眠等」

普段と行動パターンが変化することによっておこる。普段は炭水化物少なめの食事を心がけているが、旅先では増える。特に冬の精進料理では増える傾向にある。それにいつもと違うスケジュールや冷えが加わると、便通が悪くなる。睡眠も、寝具が変わると寝心地が変わったりするし、旅先にいる緊張から浅くなりがち。消化不良や食べ過ぎも睡眠の質に影響が出る。一方で、移動中に眠りかち。寒暖差からも移動中に眠気は強くなる。
これまで行ってきた対策:なるべく普段に近い食事になるように心がける。睡眠は、数日間のことなのであまり気にしない。
今年行ってみた対策:あえて炭水化物過多を受け入れたうえで、食べ過ぎには気を付ける。可能であれば食事の最後に乳酸菌などを摂る。睡眠は、眠るときに何かするというよりもいつものように朝起きた時の軽い運動を可能な限り行うようにする。移動で身体がこわばっていれば寝る前に軽くストレッチや筋膜ほぐしなど行う。

結果として今年は

「冷え」

感覚的にはいつもよりまし。特に日常においてはほとんど問題を感じない。山においてもずいぶん楽。ただし何もかも平気になったわけではない。寒冷地の室内はとても暖かいが、廊下などが寒い。そのギャップで頭痛を感じたりすることもあったし、旅の終盤にはおそらく冷えから来た自律神経の乱れであろう眩暈や、動きにくさ、頭の回らなさを感じた。その夜はカイロをして眠った(途中で外したが)。楽にはなったが冷えてはいるのだろう。

「むくみ」

帰宅時の体重の増加は1キロ。翌日にはほぼ通常体重に戻る。増え幅、戻り方ともに以前よりよし。むくみによる体重増加があると、朝の顔のむくみはあるが、足のむくみなどは少なかった。楽。

「お通じ」

いつもと同じというわけにはいかない。冬の旅先でありがちな、頻尿気味なのに便秘傾向は継続。しかし1日以上の便秘はなく、帰宅すれば治る。比較的良好というべきか。

「睡眠」

日課を旅先でも行うことは体調管理全般に役立つ。冷えると夜間トイレに起きることもしばしば。そのような断眠があっても、うとうとした感じや夢ばかり見ているような感覚はなく、睡眠の質自体は良くなった気がする。

といった感じである。

「現場(旅先)で何をするか」ということもあるが、「普段身体に対してどう向き合っているか」と「普段何をどうしているのか、その自覚」がずいぶん自分を助けてくれているような気がする。
アーユルヴェーダの知恵とヨーガの呼吸法はすごく助けになっていると思う。それらが生活の中に定着してきたせいか、普段の飲み物も白湯が占める割合が上がってきている。マテラ石など、おいしい水を作るアイテムがあるおかげもある。
問題への向き合い方にしても、「悪いもの(問題)を消す」「問題を感じてから対処をスタートする」のではなく、「自分にはこういう問題が問題になりやすいんだな」と自覚して「付き合い方を考える」という方向にすることを意図的にしてきたように思う。問題を殲滅する、というような「戦う」意識ではなく。戦闘モードを「意欲」や「努力」と勘違いしない、「日常」を知らないうちに「戦場」にしない、というか。
問題の存在を嫌ったり、「戦う」の、しんどいけど簡単だし、燃えるんだけどね。でもそれをすると行為が義務化するし、何より本質からずれる。私は2月の寒冷地に「寒さ」や「自分の体質」と「戦いに行く(勝たねばならない)」わけではなく、たまさか2月の寒冷地で行われることなんだけど、味わうため、楽しむために行くんだしね。

アレクサンダー・テクニックでの「からだの使い方」というコンセプトも、「どういう使い方がいい(正しい)のか」というよりも、本質的には「自分の能力をどう使いたいか」だと思っている。問題の存在や痛みが大きいときにレッスンに来ていただくと、どうしても焦点がそこに集中しがちで「痛くなければ、はい、オッケー」みたいな感じで痛みの消失とともに身体への関心も消失する人は多い。でもそこはまだスタートラインですらない。
自分自身の「うつし」としての身体に向き合いたくない、怖い、と思っている人って、多いのかもね。他人に自身をさらすのは痛みや問題を消したい時だけで、自分のことは自分の好きにしたい(好きにすれば好きにできると思っている、というべきか)、他人に触れられたくない、という防御的な意識が高い人も少なくない。私自身、どこかで怖いと思っているような気がする。
でも自分は自分のことを意外と誤解しているんだよね。身体の動きにしても、意外と自分が思っているようには動いていないし。

問題意識以外の視点から見える自分の姿は、良い意味で「どうでもいい」存在に思える。そう思えて、やっとレベル・ゼロ。
そこに立ちたくて、何度も立ちかえりたくて、私はお参りをするのかもしれない。

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