えこひいき日記

2001年3月25日のえこひいき日記

2001.03.25

夜、京都に戻ってきた。
昨日はちょうど牟礼で彫刻を見ているときに地震がきて驚いたのだが、屈指の花崗岩の採掘所でもある硬い地面はあまり揺れず、建物やガラスがびりびりと音を立てていただけ(でもけっこう鳴っていた)で全く大事無かったのだが、正直言って、同じ見学グループにいたおばさまがたのおたけび声のほうによっぽどびびってしまった。亡くなった方が出たほどの地震だったことを知ったのは昨日の夜になってからだった。

ところで今回の旅のお供の本は島田雅彦氏の『ひなびたごちそう』(朝日新聞社 2000年11月1日発行)だったのだが、大変楽しく読めた。
島田雅彦氏の著作を手に取ったのは大学生の頃で、しかも動機が「表紙が金子国義だったから」という大変不届きなものだったのだが、読み出すとはまってしまった。島田氏はお顔の造作も大変美しい方なので、そういう方面(?)のファンも多く、映画に出演したり、舞台の脚本を書いたり、多方面で活躍されている。

最近、石けんなどの「毎日の生活で使うもの」を自分で作ってみるようになったこともあるのか、料理のことも気になってきている。もともと作るのも食べるのも嫌いではないが、作るのは面倒であることも事実で、これまでは約2週間おきの波(2週間くらいは仕事が終わったら「手早く食べる」ことが優先され、必然的に外食やコンビニ利用率が上がるのだが、その後はそれにも飽きて「空腹でも、自分で作って食べる」方にプライオリティーが移行する。その周期が大体2週間)だったのだが、最近では自炊率が上がってきている傾向にある。
グルメ番組などを見ていると、例えば肉の質の良さや特性を伝えるために産地農家の様子が映されることがある。「うちの豚はこれを食べさせているから肉が締まってジューシーなんです」というコメントや他の豚肉との比較の映像を見ていると、まさしく「食べているものが身になっている」、口から入るもの以外で肉体を作る素材を得ることはないんだなあ、などということをしみじみ思ったりする。
そして、他人様の食卓に上る可能性こそ薄いとはいえ、自らの身体についても同じなんだな、と思うのである。それでは栄養計算をしてサプリメントで肉体を「作る」のがよろしいかというと、私は個人的には「ノー」である。私は食事を「済ませ」たくない。できればその行為を楽しみたい。その体験もまた、私の「身になる」と思っているからである。

最初から一気にこることもこだわることも難しいけれど、とりあえず島田氏の本に倣って、海塩と岩塩の使い分けあたりから試してみようかと思っている。

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