えこひいき日記

2002年9月5日のえこひいき日記

2002.09.05

9月になるのが怖かった。
あの日がやってくるからだ。9月11日。テレビのニュース番組ではいっせいに特集が組まれ、あの日から今日までのことを放送している。私はそれを見るたびに涙が止まらなくなる。そういう自分をみて、「やっぱりまだ終わっていないんだ」と思う。この1年の間、普通にご飯を食べ、ちゃんと眠り、笑い、仕事もそれなりにしてきた。でもそれはあのときのことが私の中で終わったからや忘れたからではないことを、いまさらながら思う。机の上に積まれたままの資料の山のように、私はこの1年、この気持ちを積んだまま、どこに片付けてよいのかわからないでいる。それはあと1年経ったら、2年経ったら、置き所の見つかる気持ちなのかどうかも、私にはわからないでいる。
でも生きていかなくちゃならない。そのことがたまらなくしんどいと思うこともあるし、ひとかけらもポジティヴなことなんか思いつけないこともある。でも生きていかなくちゃいけない。ご飯を食べて、眠って、うんと考えて、笑って、そうしていくことでしか、私は自分の気持ちが自分で見えないし、人にも伝えられないから。すこしだけ、逃げずに向かい合おうと思う。置き所のない気持ちに向かい合うのは、こわいことでもあるけれど、だからといって避けて通ることの方が、もっとしんどいから。明確な答えが見えなくても向かい合おうと思う。

今年の夏に、ニューヨークの建築家の友人夫婦がワシントン州の大学に移った。そこで教鞭をとるのだそうだ。私にとってその友人は、ニューヨークに行ったときには一番に会いたい友人だったので、なんとなく淋しい気もする。それと、偶然なのだが、ワシントン州の大学は私もリサーチで行ったことがあるのだが、ここはもんのすごーい田舎なのだ。ニューヨークに比べればたいていの場所は「田舎」なのだが、友人のいる場所はいわば学研都市のようなところで、緑の多い場所だが全て人の手のかかった緑であるところがひとめでわかるような場所で、その場所で友人がどんな暮らしをしているのか、想像もつかない。彼らと遊びに行くときは、いつも劇場に行ったり、ご飯を食べたり、買い物をしたり、本屋をうろつくことだったりしたので、毎日ショーが行われているのが当たり前のような街から、劇場が何軒あるのかさえ定かではない町に行って、いったいどんな週末を過ごしているものやら、ほんとに予想がつかないのだ。うーん。

日本に帰ってきて7年が経ち、友人がいなくなった街。ニューヨーク。そんなこともあって、私は「グランド・ゼロ」に一人で行くことを想像すると、腰がひけてしまっているのかもしれない。そのとき自分がどんな気持ちになるのかを想像すると、今はまだ、動揺の方が大きい。
でも来年、行ってみるかもしれない。

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