えこひいき日記

2002年10月22日のえこひいき日記

2002.10.22

あいかわらず物理的活動範囲としては「お籠り」に近い生活を送っている。事務所と住居はおんなじビルの中だし、一歩も外に出ない日もある。食料を買いに行くのも、この近所で全てまかなえてしまう。
それでもデスクワークの思考力がオーバーフロウしそうになると、お散歩に出ることはある。いつもは「やばい、もう食料が底をついたぞ」とかいう、用事を済ますために外に出ることが多いのだが、このときばかりは何の目的もないお出かけである。何を買う予定もないし、どこに行く目的も特にない。
しかしそういうときにした「発見」というのは、単純に楽しい。突然の「ギフト」のようなものだ。まあ、小さなことかもしれないけどさ。

最近、ゲリラお散歩で楽しかったことは、とあるカフェで飲んだ「プーアル茶のカプチーノ」が意外においしかったことである。その日はお天気もよく、ついふらふらと若干の遠出をしてしまった。「遠出」といっても歩いていける範囲のことだし、ちょっといつも歩き回るエリアからはみ出ただけのことなのであるが、そうしてしまえること自体にちょっと解放感を感じたりもする。
ちょうどお昼時で、お腹もすいていた。ところで私は普段、一人で外で食事をするということがない。外で食事をするときはいつも誰かと一緒に行くので、一人で食事をするときは大抵持ち帰るか、自分で作って食べる。出張先などでは別だが。だかこの日は珍しく、ランチを食べる気になった。そこで御池から寺町通りを二条の方向に上がったところにあるSというカフェに行くことにした。
「プーアル茶のカプチーノ」はその日のランチ・メニューの、ドリンクのセレクションの中にあったのだが、つい珍しかったので頼んでしまった。ちなみにカプチーノも普段私は飲まない。ミルク入りのを飲むと、体調によっては胃が痛くなってしまうからだ。でもその日はなぜか飲む気になった。
「たくさんめにシロップを入れるとおいしいですよ」というカフェの方のアドバイスに従い、まずシロップ抜きで一口飲んでから、たっぷりシロップを入れて飲んでみた。お味は、なんというか、ちょっと香ばしいよな懐かしい味である。プーアル茶独特の煙るような苦味がかえって優しく感じられるような、不思議な味わいだった。
カクテル作る人や調香師さんなんかもそうだが、そういう組み合わせを「やってみよう」、と思えることがすごいなーと思う。どういうきっかけで「そうだ、プーアル茶でカプチーノやってみよう」と思ったのかは知らんが、なかなかブラボーなお仕事であった。
その後、そのカフェのオーナーの奥様とすこし話をし、娘さんのC嬢(小学校1年)と遊んだ。私は動物と子供とは本気で遊んでしまうので、C嬢ともとめどなく遊べそうだったが、「またねー」と帰ってきてしまった。次に会うときまで、C嬢は私のことを覚えているかなあ。(その前に会ったのは4年位前だったんだもん)

ちょっと前になるが、その他のお散歩の収穫としては、PE’Zというジャズグループ?の「9月のそら」というCD。とある店のBGMとして流れていたので店の人に「これ、CDありますか?ください」といって買って来てしまった。

あと、お散歩ではないが、川上弘美の『椰子・椰子』という本をちびちび読んで、楽しんでいる。日記のように書かれた本なのだが、なんだかとっても奇妙で面白い。昔、子供の頃に弟としていた遊びを思い出す。弟が突然、空を見上げて「なすび」とかつぶやくので、私が「えー!!」と動揺すると、「ただ言葉を言っただけだ。そんなに動揺してはならぬ」と諭されるのである。思えばシュールな姉弟であった。

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