えこひいき日記

2002年11月15日のえこひいき日記

2002.11.15

このところ、まじめに原稿をあげてしまおうという気持ちになったこともあり、昼から夜へ、また次の朝へと時間の境目が怪しくなるような日々の渡り歩き方をしていたところに、久々にじつにへこたれるクライアントのレッスンがあったせいか、今朝は久々の不眠を味わっている。といっても感情的に苛立ったりして眠れなかったわけではなくて、正確にいえば、蓄積疲労がある程度あるところに精神的なへこたれがやってきて、そのへこみが胃に作用して夕食に食べたものを皆吐いてしまい、そのせいで急速に血糖値が低下してめまいがし、舌がしびれてきたので、果物を食べたら、今度はおなかが膨れて眠れなくなったのである。ベッドにもぐりこんですこしうとうととしたのだが、物音で目が醒めてしまった(私は物音に弱い)のだ。そうするととがった神経が冷蔵庫のうなる音やら、階上の住人の動く音などを残らずクイックルワイパーのようにキャッチしてしまい、じっとしている方が疲れそうなので、事務所に起きてきた。幸い今日は、こういう体調にはうってつけの曇りだし、クライアントをみる日ではなく原稿を書く日なので、書き物はさておいてゆっくりと雑務をするのだ。

まだ夜が明け染めぬ事務所で最初に「やろう!」と思いついたのは、金魚水槽の水替えであった。最近、事務所のベランダには金魚がいる。「最近」と言っても、金魚(黒出目金)がやってきたのは10月のはじめぐらいだったかしら。メダカ池のタニシが増えすぎたので、タニシだけ別の水槽に移そうかな・・と思い立ち、でもただ水槽に入れただけだとタニシも食べるものがないわ・・と水草を買いに行って、でも水草だけっていうのもな・・などと考えてしまい、ずるずると黒出目金を買ってきてしまったのだ。
以前、ここには赤い和金の金魚がいた。「金魚ちゃん」という名前で呼んでいたそいつは、夜店の金魚すくいでゲットした金魚だったが、恐ろしく気が強い金魚だった。近寄ってきた猫には鰭で水をかけるし、来たクライアントをにらむし、「さびしかろう」などとへたに気を使って入れたほかの魚やえび(藻を食べてくれるはずなのだったが・・)をことごとく「追放処分」にして、水槽を「我が城」として君臨しておられた。体調15センチまで成長した「金魚ちゃん」は3年程暮らして、ある日突然みまかられたのだった。
私は「金魚ちゃん」の強烈なキャラクターを愛していたので、黒出目金を選ぶときに思わず「元気で、気の強そうなのをください」と言ってしまった。すると係りのおじさんは冷静に「元気のよさはわかりますが、気の強さはわかりません」と言って来た。ごもっともである。「元気は、皆いいですよ。選んできましたから」とおっしゃるので、「ではこのこを」と、何を根拠にかはわからない勢いで選んできたのが、この黒出目金である。名前は、まだない。
「黒出目金は、弱いですからね。水が汚れるとすぐ弱りますよ。尾腐病とか、感染症にもかかりやすいので気をつけて」とおじさんに注意されたので、数日間は「今日も元気でいてくれるか、今朝は大丈夫か」とおっかなびっくりだったが、幸い今日の日まで元気にしていてくれる。和金のスリム・ボディに比べると、出目金のグラマラスで装飾的な体つきは、どこか泳ぎ方もユーモラスで、動きからの印象で判断するに「気が強そう」には見えない。水温が低くなってきたせいもあると思うが、わりとじっとしていることも多いし、同じ「金魚」という生き物でもずいぶん違いがあって、おもしろい。

生き物といえば、先日うちの猫は無事に今年の予防接種を済ませた。やれやれである。6月から200グラムほど体重も増量し、大猫への道を着々と歩むのであった。最近、よく食べていたからなあ。接種の翌日は、食欲もなく寝ていたが、その夜には無事に復活した。

金魚にしても、猫にしても、見ていて飽きることがない。会話というものもないし、「理解」というにはあまりにも不可解なかかわり方だが、敵対しているわけでもなく、関係性が成立するのは、やはり面白いことだなあ、と思うのであった。

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