えこひいき日記

2003年9月22日のえこひいき日記

2003.09.22

一気に涼しくなったものだ。昨晩はうっかり夏物の寝具のまま寝てしまい、寒くて明け方に目がさめてしまった。まったく、季節は変わる時は一気に変わるものだ。

単純にそれを「京都的」といってしまってよいのかどうかわからないが、でも京都にはちょっとユニークなスタイルで商売をしている人がいて、おもしろい。2年前の雑誌の取材で紹介した陶器や焼き物を売るお店も自宅の町屋が週末だけお店に変わるという不思議なところだし、近所にジーンズしか売っていないお店(サイズのサンプルを試着して購入するスタイル)とか、けっこうある。そのような、「量販」とか「販売者の積極的なサービス提供」とは対極的な、なんか「商売っけのなさげな」スタイルがそのまま東京や大阪で通用するのか疑問だが、京都では「あり」のようである。もともと京都には職人さんが多いし、自分とこで作ったものを作った分だけ売る、納得のいかないものは作らないし、売らない、というスタイルはスタンダードなのかもしれない。
昨日、ちょっと気になっていたお店に行ってみた。週末だけ、しかも期間限定(9月半ばから3ヶ月だけ)オープンしている洋服屋さんなのである。始めていくお店なのだが、そこのロゴになっているまんまるいウサギが気に入ったのである。どういうわけか、私は妙にウサギに弱いような気がする。
お客さんがいない間、店員さんとしばらく話をした。私はなぜか、フラッと入った店で店員さんと話し込む、ということがままある。普段は、しつこい店員さんとか妙に馴れ馴れしい接客をする店員さんがとても苦手なので、「人嫌いバリア」を張って「話し掛けんなよ」というビームを放射しているのだが(一緒に買い物に行ったことのある友人によると、そうらしい)、なんとなく「いい感じ」のお店ではお話をする機会にも恵まれることがある。
「なんで期間限定で、週末だけの営業なんですか」という質問に対し、「まあ平日はそんなにお客さんは来ないし、デザインをして売っているんで、それとのバランスもあるし、たまたま以前に借りていた町屋を使ってよいということになったので・・」ということであった。取り立てて予想を裏切る回答ではなかったが、でもそういう言葉がさらっと出てくることに何か安心感というか、好もしい感情を持ってしまう。
自分だって自営業なので手前味噌な言い方になってしまうが、遊びや趣味としてではなく、最初から「儲からなさそうなこと」を仕事に選ぶというチョイスは、「就職」という就労の仕方が圧倒的に一般的な社会においてはちょっと勇気の要ることだと思う。私なりにだが、それなりの波や壁も経験した。自分が仕事に消費されない環境を確保しながらプロとして恥じない仕事を提供する・・・というのは、あたりまえのことなんだけれども、そのためにかなりのエネルギーを注ぐことをふつうに許容しなくてはならない。それがめんどくさいという人間は、多分自営業とかには向かないかもしれない。自分が仕事をするために必要なことを、一般性・非一般性に惑わされず選び取ることができるか否かは大事なことだと思う。
ともあれ、遊び心に満ちたデザイン・コンセプトを聞かせてもらって、大笑いし、かわいい緑色のサーディンのTシャツを買って帰ってきてしまった。なぜサーディンなのかは秘密なのである。ふふふ。

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