えこひいき日記

2004年11月12日のえこひいき日記

2004.11.12

11月になったらゆったりした時間をもてるのではないかなどと思っていたが、甘い考えだった。雑用というものがわんさかと溜まっていたのですね。原稿にはまだ突入しておりません。なんということだ・・・。そして風邪をひいてしまったこともあって、「はかどる」という感じとも「ゆったり」という感じとも違う(でも用事は結構ある)時の流れ方を感じている今日この頃である。それでもまる一日クライアントに会わないという日があるだけで、随分新鮮である。クライアントと会う仕事が詰まっているときは、当然ながらスケジュールの組み方はクライアントの合わせたものになるし、時にはご飯を食べる暇さえなく、ましてや「好きなときにご飯を食べてよい」というような状況ではなくなっていることが多い。それが今はできる。そういうのって、新鮮で楽しい。

そうした中でにわかに頭をもたげてきたのが「きもの欲」である。今年の夏に「ゆかた」で過ごすことの心地よさにはまってからかねがね思ってはいたことだが、「普段着としてきものを着てみたい」という欲求が強くなり、それをついに実行に移すことにしたのである。まずは気楽なポリエステルのきものを入手し(「気楽」というのは、お手入れが楽、お値段が安いので経済的・精神的負担感が楽、という意味が主である。仮に何らかの意味で「失敗」してもあんまりきついダメージになりそうにない、ということもある)、帯、帯揚げ、帯止め、襦袢や足袋を見繕う。草履もね。実家にはいわゆる「およそ行き」というか、礼装用の草履やきものはあるのだが、それは「普段着」には流用できないものが意外と多いので、この期にそろえる結果になった。でもねー、全部まとめても3万円くらいだぜ。なんて手に入りやすくなったのかしら、と思う。
草履も足袋も、最近では随分遊び感覚の効いた品物が多く出回っているが、いざ購入するとなると悩んでしまう。単品ではかわいいなあ、と思ってもきものの中にどう取り入れるかがなかなか思いつかない。すっごくアバンギャルドな着方をすればそれなりにはまるのだろうが、個人的には自分に似合うものだか疑問でもある。あくまでもすっきりと「ふつう」に着こなしたいと思う。
それにしても、柄や色のある足袋を「派手だ」と思う感覚がある一方で、トラディショナルなきものと帯の合わせ方というのも洋服の感覚から考えたらいいかげん「はで」だと思う。洋服のトップとボトムをあの色感覚・柄感覚で合わせたらびっくりするほど「ド派手」になってしまうと思うのだが、なぜきものだと「ふつう」に思えるのか不思議である。この「感覚」って、どうやって定着するんだろう?普通に受け入れている感覚だが、でもすごく不思議である。
私が選んだ着物も、自分でも「渋い」とは思ったが、母に言わせると「地味すぎる」そうで、「渋すぎる」と言われてしまった。それに合わせて購入した帯も、単品で見ると十分「派手」に思えたのだが、いざ着付けてみると「地味すぎる」ということになり、結局母が若い頃に絞めていたという帯を譲ってもらってはまった。今の私には普段着で格好のよいコーディネートがささっと浮かばない。どんなきものにどんな帯がよいのが、帯揚げは、帯締めは、どんなのを締めたいのか、まだ具体的に思い浮かべられない。思い浮かべられるパターンが貧困なのである。それが自分に似合うのかも、まだ自信がない。かっこよく着こなすためには日々勉強である。
また、通常売られている規制のきものはみんな私にはでかいんだよなー。洋服でもそうなんだが、きものはおはしおりの取り方などで苦労しなくてはならないから、本当にきちんと身体にあったものを着たくなる。「身につける」という行為を洋服とはまた違う感じで意識してしまう。また、きものは紐の締め方とか、帯の締め方などとの「着方」によってけっこうからだの自由度が違ってしまう。洋服にもそういうものはあるのかもしれないが、基本的にデザインで決まってしまう要素が多いような気がする。だからきものは面白いとも思う。

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