えこひいき日記

2008年5月19日のえこひいき日記

2008.05.19

衝動的に本屋に立ち寄った。最近はついつい「ネットで注文」が多くなってしまったが、ふと「本に呼ばれている」ような気がするときが時たまあって、夢遊病者のように本屋さんに入ってしまう。そういうときの思いがけない本との出会いは素敵である。ネットで本を買うのは、自分が何を買いたいのかわかっているときである。でも実際に本屋さんへ足を運ぶのは、やはり、よい。自分で狙っただけでは得られないサプライズがあるから。つい10冊ほど大人買いしてしまう。本をつめてくれた紙袋は重く、腕に下げて歩いて帰ったら、内出血ができてしまった。私、すぐ内出血できる。でもすぐ治るんだけどね。
その中の一冊、原作・久住昌之氏・作画・谷口ジロー氏の『孤独のグルメ・新装版』(扶桑社)を読んで、どきどきする。困った、困った。こういうの、すごく好き。こういう人のことも、多分好き。惚れそう。(でも、私が「惚れている」のは、この一人での食事風景と心象風景に、なんだろうなと思う。例えば、この漫画の主人公・井之頭さんと食事がしたいか、といったら、それよりは、少し離れた席でずーっとこっそり見ている方が面白そう、と思ってしまう)

ところで、調布市で不発弾処理が行われたという。甲州街道も通行止め、電車も止まり、近隣住民1万6千人くらいが避難したと聞いた。
車を止め、電車を止め、大勢の人を避難させて、大変な労力を払って誰も傷つけないように除去されようとしているものが、かつてまったく逆の目的でここに投下されたんだ、と思うと、なんだか気持ちの置き所がないような気持ちになる。それはかつて人間が人間を殺そうとした痕跡なんだ、そうすることを是とする状況や価値観があったんだ、と思うと、怖い。爆弾も怖いが、人間が怖い。いや、人間の全部が怖いんじゃない。人間が、ときに、恐ろしい存在になれる、ということが怖い。
だからちゃんと目を開いてみていなければ、と思う。先入観や既存の認識に自分の信じる根拠を預けっぱなしにするのではなく、今見ているものを見なくては、と。それは人間を警戒して疑うためじゃなくて、信じるために。

カテゴリー

月別アーカイブ