えこひいき日記
2008年6月24日のえこひいき日記
2008.06.24
実家にデジタル・フォト・フレームなるものを買って贈った。それは文字通り、デジタルの写真立て。電気仕掛けでメディアに記録した画像を次々と表示できる代物だ。友人宅にあるのをみて、なかなか良いものだと思い、早速実家に持っていった。
実家の人々はデジタル家電を所有・使用はしているものの「こんなん買ってきたから随意に使いなはれ」だけでは少し心もとなく、不親切にも思われたので、手近にあった家族の写真やペットの写真などを適当にスキャナで取り込んだりしてメモリースティックに収め、持って行った。
幸いなことにこの文明の利器は御歳92歳になる祖母に大うけ。「それで、これはどうして動いているんや?」と3回くらい聞かれてしまったが、気に入ってもらえたようでよかった。
それにしても、デジタル・フォト・フレームに次々と表示される家族写真を眺めていると、まるで誰かの「過去の記憶」の中をのぞいているような気持ちになる。それも、ずいぶんと美しくトリミングされた記憶。記念日や旅行先で笑っている家族の顔。あどけない犬や猫の写真。まるで人生がずっと素敵な時間だったような気がしてくる。幸福な錯覚。人生の一部を編集すると、ソースはリアルなんだけれども、人生そのものとはちょっと違った風景になる。でも、それでいい、とも思う。それを錯覚と知った上で幸福感に酔うことが、この人生全体を受け入れる力に変わるなら。
時々、私はこのまま何もできないで終わるのが怖い、と思ったりする。切実に。でも何をすれば何かをできたことになるのかなんて、私は知らない。わからない。でも、このままタイムアップにならないよう、がんばろうと思う。最後のときまであがいてみようと思う。ときどきそんなふうに「生きる」ことを考えるのが死ぬほど怖いけれども。