えこひいき日記

2010年3月29日のえこひいき日記

2010.03.29

三月も終わりだというのに、なんなんだ、本日の天気。雪だよぉ。事務所の近くの六角堂の枝垂桜は満開だというのに(六角堂の枝垂桜は早咲きなのである)、或る意味、風情ありすぎ。

それにしても、2月から3月にかけてはスケジュール的に少々えぐかった。加えて、少々精神的にしんどいことも重なり、神経がプチプチッと音を立てるのを感じてしばしば衝動的にやけになりたくなるのを水際で支えるような日々がしばらくあった。やけになって、コトが前に進むんだったら、世話がない。辞めて楽に慣れるんだったら、とっくに辞めてる。そうじゃないから、しんどくても「ここ」にいなくてはならない。わかっている。わかっているのに、時々全部放り出したくなる。そういう衝動を秒単位で消火しながら「ここ」に留まる。

でも素敵なこともたくさん或る。例えば、先日ダンス・ワークショップに来てくれたダンサーたちの前向きなエネルギー。既に上手い人たちなんだけれども、さらにその先へ、一歩でも自分の思い描く理想へと、真摯に向き合ってくれる姿にはわくわくする。自分の身体にまだ眠っている可能性と向き合って、まだ始まっていない「何か」に手を伸ばそうとしてくれている姿が頼もしい。それが別に私を喜ばせようとか、慰めようとか、そういうのでないところもいい。変にあきらめるとか、気を使うとか、手加減を加えて居心地のよさそうな場を作るんじゃなくて、思うことを投げかけて、相手も真剣に返してくれて、場がわくわくする・・・そういう場が「ある」、「おこる」というのが嬉しい。
春休みだったので、小さいダンサーさんがこっそり(でもなかったけど)たくさん見学していたのも楽しかった。かわいくて。あ、みんなダンス好きなんだな、ダンスの先生のことも好きなんだな、って感じで(小さいダンサーさんたちの「先生」が私のクラスの受講者だったのである。「先生」たちが何をしているのか興味津々なんである)。勇気を出してレッスン場内での見学を申し出てくれて、けっこう遠慮なく身体を動かして「参加」していた子もいた。そういう「やる気」、凄く好きだ。無遠慮だとか思わない。どんどん吸収して、なんでも試せ! と、応援したくなる。

たとえ私が個人的にどんな状況だろうが、この世界に輝きがあることは、私を支える。辛いことがあっても、世の中と関わって、信頼して、生きてみようと思える・・・そういう潜在的な力になるような気がする。「いいこと」って、そういうことのような気がするなあ。私の日々の小さな悲苦とか利害なんかと直接関係なくて、素敵なこと。普遍的に輝くコト。

話は全然変わるが、最近自宅のベランダにカラス君が来る。正確に言うと、ベランダの策の向こう側に来る。けしてベランダ内には入ってこないのだが、それでも飽かずやってきては、半透明のアクリル板をつんつん突っついたり、毛づくろいをしたりするのだ。カラスの来訪に気がついたのは、早朝響く「コンコンコン」という音でであった。まだ半分夢の中にいた私は、「宮大工が極小の桐ダンスを作り始め、釘を打っている」という夢を見ていたのだが、「釘を打っている」音に思えたのがカラス君がアクリル板をリズミカルにつついている音だった。何のためにそんなことをするのかわからない。何度も繰り返すので、一度「何やってんの?」と声をかけてみたのだが、カラス君は飛び退っただけだった。それでも毎日やってくる。
勝手な想像だが、このカラス君は若そう。一体どのくらい通ってくるものだが、見守ってみようと思う。

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