えこひいき日記
2002年5月12日のえこひいき日記
2002.05.12
最近、少しまじめに「猫のまね」をしてみている。最近習得したのは「ジャンプ」である。もちろん、猫のジャンプ力には及びもしないのだが、しゃがんだ状態から自分の腰の高さほどのレッスン用テーブルに飛び上がることくらいは「猫のやり方」に則ってできるようになった。別に汗をかきかき練習をする必要はない。動きさえ読めれば、結構シンプルで簡単である。結構面白いので、何人かのクライアントともレッスンの中で遊んでみた。なかなか好評。楽しいですよ。
「猫ジャンプ」でもっとも印象的なのは、飛び乗ろうとするものにうんと近づき、助走などなしにほとんど垂直に移動することである。「ほとんど垂直」というジャンプ移動は、例えばハトなどとはずいぶん違う。以前、ベランダに巣を作ったハトのヒナたちが飛べるようになるまでを何度も見送ったが、へにょへにょのヒナたちが飛べるようになる最初の「おけいこ」は膝の屈伸であることを知ったときは、驚いた。翼のあるものなので、つい翼で浮力をつけるとばかり思っていたが、それはずっと後のことで、まずは膝が正確に屈伸できないといけないのだ。膝の屈伸でジャンプしてから翼を広げて滞空し、すかさず首の方向で舵取りをして、飛びたい方向をコントロールする・・・最初のヒナたちが飛べるようになった習慣をたまたま私は目撃したのだが、けっこう感動してしまった。ともあれ、ハトたちの飛び方は「斜め前」に飛び出すかたちが基本のようだ。猫のように、高く垂直に飛び上がる、というのはいくら「飛ぶ」ことのプロたるハトさんとはいえ、「業務外」らしい。
「猫ジャンプ」は、徹底的に背骨で「舵取り」を行うことによってシンプルかつ確実に可能になる。踏ん張らず、とどめず、ずーっと背骨を「つないで」おくことがポイントである。もちろん、この「猫式」は、猫にとって最適ではあるが、人間にとっていつも最適というわけではない。猫の肩関節や股関節の可動範囲は人間のそれよりもずっと狭いので、人間とは移動の形式が違うのだ。ただ、手足が便利すぎて背骨の役割を理解しそびれている人には「猫式」を遊びで真似てみることは面白いかもしれないし、テーブルほどではないが、階段などの段差を上る際に過剰な努力をなさっている人にはお勧めである。身体能力に恵まれすぎて自分のロスに気がつきにくいダンサーや体操選手にもお勧めである。実際、ジャンプものが楽になったという人は結構いたな。
そしてさらに私が現在チャレンジしているのが、「猫式ジャンプ・ダウン」である。つまり、上ったところから「猫式」に降りるのだが、これがこわいのだ。なんせ、先に頭が下を向くので。まだ全然できない。恐る恐る試す私の様子を「師匠」(猫)は「なにしてんの?」という感じの真顔でじーっと見ているのだった。