えこひいき日記
2016年6月21日のえこひいき日記
2016.06.21
夏至ですね。
先日、受けていたアーユルベーディック・ヨガ・セラピー講師養成講座40時間のトレーニングが終了した。1月に3日間、6月に3日間の講習があり、その合間には課題も出る。私にとってはすごく楽しい半年だった。私のヨガ歴はせいぜい4年ほど。私以外の参加者はみなヨガの先生方ばかりなのでどうなることか(ついていけるか、場の雰囲気を乱す存在にならないか)とも思ったが、学んでみたい興味のほうが勝り結局あまり躊躇せず参加を決めた。バックグラウンドもお話させていただいた上で参加させていただいたのだが、私に学びの場を与えてくださった先生や参加者の方々に感謝している。
何度かこの「日記」にも書いたかと思うが、父の闘病、その後の自分の膝の手術の時期に自分の体調の維持・回復にいろいろと「実験」を試み、結果的に私にとても効果的だったのがアーユルヴェーダだった。
アーユルヴェーダでまず大切にするのは「からだにいいことをする」よりも「からだにわるいことをしない」こと。ちょっとアレクサンダー・テクニックとも共通している。そう、アーユルヴェーダとヨガに触れてみたことで得た意外な(?)副産物は、アレクサンダー・テクニックを「いいやん!」と見直したことかな。ヨガにしても、アーユルヴェーダにしても、わりかしすんなり入っていけたのはアレクサンダー・テクニックをしていたからだと思う。解剖学的な知識がいささかあるということもあるが、「からだ」を単に骨格と筋肉と臓器の集合体とだけみなしていないことが大きいと思う。アーユルヴェーダやヨガのクラスで「からだと知覚を間違った使い方で使わない」と言われて、何を言われているのかすんなり理解できるのはアレクサンダー・テクニックを知っていたおかげだろう。
で、「からだにわるいことをしない」とは何か。
例えば、体調を回復させるいためには、栄養のある食べ物を食べたり、高価なサプリメントを摂取するよりも、まず不調の原因を取り除くことをすすめる。呼吸や便通、血流などに現れる「滞り」を取り除く。もちろんメンタルな意味でのそれにも目を向ける。「滞り」を生じさせるライフサイクルを選んでいるのはなぜか、滞らせないためには、何を選ぶか。
アレクサンダー・テクニックでも「どういう運動をすべきか」よりも「どういう動き方があなたにとって必要がないか」を知ってもらったうえで「鍛える」ことをすすめるのだが、わかりやすい。
「巡り」「滞り」のバロメーターとしてなかなか存在感があるのが「お通じ」。アーユルヴェーダでいう「いいお通じ」はかなりハイレベル。私は以前から、いわゆる西洋医学で言われるところの「便秘」ではなかったが、アーユルヴェーディックな目で見てみると「うわ、まだまだやったわ」「甘かったわー」と思った。今まで自分が「満腹感(満足感)」だと思っていた感覚の一部は「胸やけ」だったのでは?!という疑惑が浮上し、「お腹いっぱい(満足)」だけど「(物理的な感触として)お腹が軽い」という状況がありうるのだ!(いわゆる「腹八分目で我慢する」ではなく、「食べたい量」が「それ」になる感じ)という発見があり、朝のお通じにしても「食事をとったり、水を飲むなどの刺激を与えないと便通のスイッチは入らない」と思っていたが「朝起きたら行きたくなる、というサイクルが存在するんだ!」という感じになってきた。
そんなわけですごく体調が保ちやすい。
すでに興味を持ってくださるクライアントにはアーユルヴェーダの「朝のデトックス習慣」などを紹介しているのだが、いずれもよい結果が出ているようでうれしい限りだ。
例えば、のどを酷使する俳優さんがオイルうがいとマッサージを気に入って実践したら、地方公演中も(ホテル暮らしなので食生活が乱れがちで、しかも仲間と飲みに出たりすることで夜更かししがち。公演は連日あるので喉を酷使。最終日などは声のコンディションが悪くなることは「ふつう」だと思っていた)「声がかれなくなった」というし、「疲れにくくなった」という。別の方は、人に気を使いすぎて自分を責めたり、他人の一言に怯えて動けなくなることもあったのだが、オイルマッサージを期に「自分を大切にすること」に目を向けてくれるようになり、専門のグループセラピーにも通い始めてくれた。別の精神病歴のあるクライアントは、今まで効かなかった薬が効き始め、かなり落ち着きが増してきた。アトピーをはじめとするアレルギーを持つクライアントは、「きっと体に悪いよね」とわかっていてもお酒や食事で気晴らしをすることに歯止めが利かなくなる(どこが止まるべきポイントなのかよくわからないので、いっちゃう)ことにうっすらとした晴れない罪悪感を抱え続けていたのだが、舌磨きなどを始めてみて「食事が美味しくなったのに、このへんでおしまい、ができるようになった」と不思議そうに、でも嬉しそうに話してくれた。
満足感は量じゃない、「敵」と闘って得る感覚とも違う、ということを自然に感じてくれて、本当にうれしい。
さて、私個人にとって難関だったのが、朝の運動だった。
アーユルヴェーダの「朝のデトックス習慣」ではざっくりいうと
1)起床して、排尿排便
2)歯磨き・舌磨き
3)お白湯を沸かして飲む
4)軽い運動
5)オイルうがいとマッサージ
6)からだをきれいにする(入浴)
7)瞑想
8)消化によい朝ごはん
という流れで進める。気持ちが細かい人は「マッサージにどのくらい時間をかければいいの?」「順番間違えたらだめなのかな」とか「わあ、こんなのを毎日やるのは無理!」と思ってしまうかもしれない。が、ここは完璧主義を捨てて、とりあえず舌磨きとお白湯飲みあたりだけから始めてみることを勧める。やってみて気持ち良ければきっと続けられるし、何かの事情でできない日があっても、それまでの日々だってやっていなかったんだから、それくらいの変化である。やれるときにやればいい。そのほうが結局続けられると思う。
私は個人的にはオイルマッサージをした後に運動するほうが好きなのだが、それはさておき、朝にどんな運動をしたら自分が気に入るのか、結構セレクトに時間がかかった。私は決して運動するのが好きなタイプではない。だから当初この「運動」のパートがすごくめんどくさかった。自分の活動のスイッチを入れるため、その後の朝食を美味しく、胃に負担なく消化するために大切、とはわかっていても全然気乗りしなかった。
しかしそれでもなーんとなく探し続けた結果、朝っぱらから三転倒立をしてみることが気にいってしまった。いわゆる、シヴァナンダ・ヨガやマルマ・ヨガで行う手順なのだが、自分でも驚いている。「朝起きて、また三転倒立にチャレンジできるのがうれしい」と思うなんて、やってみるまで想像だにしなかった。
こうして旅は続くんだろうと思う。この先もいろいろ変わるだろうし、思い通りのことも、思い通りにはならないこともあると思うが、楽しめるといいなと思ている。